すい臓がんの転移・再発時の症状

がんの厄介な性質の一つに、「治療後の再発」があります。 手術で病巣を取り除いても、実は目に見えない小さながん細胞がどこかに残っていて、それが後に姿を現すようになることがあるのです。

特にすい臓がんは、周りに多くの血管が通っているため、がん細胞が血管を通して遠くの臓器にまで運ばれる「遠隔転移」しやすい性質があります。

ですからせっかく手術ができても、数ヶ月後に別の臓器に転移巣が見つかることも少なくありません。また、元の病巣の近くに再発する「局所再発」もよく起こります。

しかも、すい臓がんが再発・転移しても初期症状はほとんどないため、初回治療後のフォローアップ検診で見つかることが一般的です。

ただし数少ないながら、症状が現れる場合もありますので、ご紹介していきましょう。

すい臓がんが再発・転移しやすい臓器

現在のところ、すい臓がんで完治が期待できるのは外科手術のみです。しかし手術で病巣をうまく摘出できたかのように思えても、なんと90パーセントもの患者さんが3年以内に再発するというデータが出ています。

まさに「がんの王様」の異名にふさわしい、予後の悪さがうかがえる数値です。

再発には、手術で残したすい臓やその近くに再発する「局所再発」と、血管やリンパの流れに乗って遠隔臓器に再発する「遠隔転移」の2種類があります。

特に再発しやすい部位としては、肝臓やリンパ節、骨、腹膜などが代表的で、中でもすい臓からの血液が直接とどく肝臓は、もっとも転移しやすい臓器です。

いったん再発したがんは、基本的に手術するのは難しく、化学療法で少しでもがんの進行を遅らせることが治療の目的となります。

特に再発すい臓がんの生存率はきわめて低く、余命は長くて1年、短い場合は3ヶ月という厳しい数値となっています。

少しでも予後を良くするために、再発や転移をできるだけ早期発見したいところですが、残念ながらすい臓がんの再発時の症状は、初期にはほとんどありません。

あったとしても気にならないレベルのものが多いため、多くの患者さんは術後、定期的に受けるCT検査などで再発が見つかります。

ですから、明らかにおかしいと思う症状が出た時には、既に手のほどこしようがない状態になっていることも少なくないのが現状です。

ただし、少しでも異常に早く気づくことで、早期発見につなげられる可能性もありますので、再発・転移時の症状について部位別にご紹介しましょう。

部位別・すい臓がんの再発・転移時の症状

肝転移した場合の症状

すい臓がんがもっとも転移しやすいのは、肝臓です。

ただし肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるほど症状の少ない臓器で、かなり病巣が大きくなってから初めて異常に気づくことも少なくありません。

これは、肝臓が生命活動に直結する重要な臓器であるため、病気に冒されても機能に支障が出にくいようになっているためと考えられます。

肝転移が進行すると、腹痛や全身の倦怠感、食欲不振、皮膚や白目などが黄色くなる「黄疸」などの症状が出るようになります。

骨転移した場合の症状

すい臓がんは骨にもよく転移します。特に脊椎や骨盤、肋骨、胸骨など体の中心部にある骨に転移しやすい傾向がみられます。

骨転移すると、がん細胞によって骨の破壊と再生のリズムが崩れ、骨がもろくなってしまうため、痛みや骨折などが起こりやすくなります。

特に何もしていないのに、ちょっとした刺激で骨が折れてしまう「病的骨折」によって、転移が発覚する患者さんもいます。

肺転移した場合の症状

肺も血液の要所ですので、肝臓と同様、すい臓がんが転移する可能性の高い臓器です。肺転移すると、原発性の肺がんと同じく、がんこな咳や息切れ、呼吸困難、胸痛などが起こるようになります。

腹膜転移した場合の症状

腹膜とは、腹部臓器を覆っている薄い半透明の膜のことで、すい臓がんはここにもよく転移します。特に手術後、「後腹膜」というところに微細ながん細胞が残っていることが多く、後腹膜再発がよくみられます。

腹膜に転移した場合は、腹痛や腹部膨満感などのほか、病状が進行すると吐き気や嘔吐、おならが出にくくなるなどの腸閉塞の症状も起こるようになります。

すい臓がんの再発・転移を早期発見するためには?

このように、すい臓がんは再発リスクもきわめて高いがんです。

患者さんとしては、1日でも早く再発や転移を見つけ、適切な治療を受けたいと思うものですが、初期症状が多くありませんので、早期発見するためにはフォローアップ検診をしっかりと受けるしか今のところ手段がありません。

フォローアップ検診では、血液検査やCT検査などで、すい臓がんが再発・転移していないかどうかをしっかりとチェックします。

もちろん、それ以外の時でも上記のような気になる症状が現れた場合は、念のために受診して検査を受けるようにしましょう。

最近は化学療法が進歩したことによって、再発・転移したすい臓がんでも、以前に比べると治療成績は向上しつつあります。

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