すい臓がん化学療法の流れ

化学療法とは、抗がん剤を使った治療のことです。多くのがん治療に役立てられていますが、特にすい臓がんは早期発見が難しく、手術できないケースも多いため、化学療法は非常に重要な治療法になります。

また、すい臓がんの化学療法は手術ができる患者さんに対しても行なわれることがあります。術後に行なうことで、再発のリスクを少しでも抑えるためです。

すい臓がんの化学療法ではどのような抗がん剤が使われるのか、またどんなスケジュールで行なわれるのか、などについて詳しく解説していきます。

手術できないすい臓がんに対する化学療法

すい臓がんは初期症状が少ない上、あっという間にすい臓の外に広がってしまうことから、早期発見のきわめて難しいがんです。そのため、発見時にはすでに手術ができない状態であるケースも少なくありません。

手術以外の治療法としては、抗がん剤のほかに放射線療法もありますが、放射線療法も局所療法になりますので、病巣が広がっている場合などは実施できないこともあります。

一方、化学療法は点滴もしくは内服薬によって、抗がん剤を血液に乗せて全身に届けることができるため、基本的にどのステージあっても治療効果を期待できる点がメリットです。

もちろん遠隔転移したすい臓がんに対しても行なうことができますし、がんの性質に合えば腫瘍を大幅に縮小できる可能性もあります。

手術不能のすい臓がんに対する化学療法で使われる抗がん剤としては、「ゲムシタビン」や「ティーエスワン」などが代表的です。以下のようなスケジュールで行なわれます。

ゲムシタビンのスケジュール

1日目、8日目、15日目というふうに一週間おきに投与し、次の22日目に休薬した後、 29日目に再び投与します。これを1コースとして、よほどひどい副作用を認めない限り、何度か繰り返して行ないます。

ティーエスワンのスケジュール

内服薬のため、外来で受けられる化学療法です。1日2回、決められた量を28日間連続で経口投与し、その後14日間休薬します。この42日間を1コースとして繰り返します。

ゲムシタビンとティーエスワンの併用療法(GEM+TS-1)のスケジュール

ゲムシタビンは、1日目と8日目に投与した後、15日目は休薬し、 22日目に投与します。ティーエスワンは、14日間連続投与した後、7日間休薬します。

これを1コースとして、継続して行ないます。

2011年に行なわれた臨床試験では、生存期間の中央値がゲムシタビン単独では「8.8ヶ月」、ティーエスワン単独では「9.7ヶ月」、そしてゲムシタビンとティーエスワンの併用療法では「10.1ヶ月」という結果でした。

一見すると、併用療法のほうが効果的のようですが、統計学的に検討するとそれほど効果に大きな差はみられないため、現在は単独療法が標準治療となっています。

また最近の研究では、ティーエスワンのほうがより生存期間を延ばせるという報告も出ています。

すい臓がんの術後補助化学療法

すい臓がんは、早期発見できた場合でも、手術のみで治療を終えることはあまりありません。

すい臓がんは悪性度が高く、再発リスクも高いため、手術の後に化学療法を追加することが一般的です(術後補助化学療法)。

術後補助化学療法では、「ティーエスワン」を単剤投与することが推奨されています。国内で行なわれた臨床試験では、この治療によって明らかに再発率が低くなることが判明しているからです。

治療のスケジュールは、手術不能例と同じく、「28日間の継続服用の後、14日間の休薬」を1コースとします。

ただし副作用が強い場合は、「14日間の継続服用の後、7日間の休薬」というスケジュールにすることもあります。

すい臓がんの新しい抗がん剤、「分子標的治療薬」とは?

上でご紹介したような抗がん剤は、いずれも従来型の薬で、がんに対して効果的に働きかける一方で、副作用も強い点がデメリットです。特に吐き気や脱毛、骨髄抑制などの副作用が多くみられます。

そんな中、最近開発が進められている新しい抗がん剤が「分子標的治療薬」です。

従来型の抗がん剤と違い、分子標的治療薬はがん細胞が産生する特異なタンパク質などに狙いを定めた薬のため、がん細胞をよりピンポイントで攻撃できる点が特徴となっています。

正常な細胞に与えるダメージが少なく済みますので、副作用を抑えられる点が大きなメリットです。

すい臓がんで、現在承認されている分子標的治療薬は、「エルロチニブ(商品名タルセバ)」のみになります。エルロチニブは内服薬で、ゲムシタビンと併用することによって有効性が確認されています。

エルロチニブ+ゲムシタビンの併用療法のスケジュール

1日目、8日目、15日目にゲムシタビンを投与し、22日目に休薬します。同時に、1日目〜28日目まで、エルロチニブを1日1回、継続して服用します。

抗がん剤は日進月歩で、どんどん新しい薬が登場していますので、すい臓がんにおいても今後さらに効果の高い薬が登場するものと思われます。

手術の難しいすい臓がんでも、より長く生存できるような、効果的な抗がん剤が出てくることが期待されます。

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