すい臓がん化学療法の副作用と対処法

抗がん剤と聞くと、「つらい副作用がある」というイメージを持つ人も多いかもしれません。実際、抗がん剤には吐き気や嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの副作用があるものが多くみられます。

そのため、抗がん剤に強い抵抗感を持ち、ほかの治療法はないかと考える患者さんも増えているのですが、最近では病院でも副作用対策を充実させており、ひと昔前に比べるとずいぶん患者さんの負担は少なくなったといわれています。

すい臓がんの化学療法に使われる抗がん剤の副作用や、対処法などについてご紹介していきましょう。

すい臓がんの化学療法に使われる抗がん剤

化学療法は、手術や放射線療法などの「局所療法」と違い、薬を全身に届けられることから「全身療法」と呼ばれます。

すでに手術の難しい状態で発見されることの多いすい臓がんにおいては特に、生存期間を延長するためになくてはならない治療法です。

またすい臓がんでは手術ができる場合でも、術後に補助的な意味合いで化学療法を行なうことがあります。手術で取りこぼしたかもしれないがん細胞を叩いておくためです。

すい臓がんで健康保険が適用されている抗がん剤としては、「ゲムシタビン(ジェムザール)」「テガフール・ギメラシル・オテラシル(ティーエスワン)」「エルロチニブ(タルセバ)」などがあります。

以前は「フルオロウラシル(5-FU)」という薬がよく用いられていましたが、2001年にゲムシタビンが承認されてから、より高い治療効果をあげられるようになりました。

その後、2006年にティーエスワンが承認され、2011年にはすい臓がんで初めての分子標的治療薬という新しいタイプの抗がん剤、エルロチニブが承認されました。

それぞれの抗がん剤の副作用や対処法について見ていきましょう。

ゲムシタビン(ジェムザール)の副作用と対処法

すい臓がんの化学療法によく使われる抗がん剤の1つが、ゲムシタビン(商品名ジェムザール)です。

フルオロウラシルに代わって使われるようになったことで、もともと大変低かったすい臓がんの生存率が、以前に比べて少し良くなってきています。

ゲムシタビンは注射薬で、点滴静注によって投与されます。抗がん剤の種類としては「代謝拮抗薬」と呼ばれるタイプで、がん細胞の分裂に必要な酵素の働きをブロックすることで、がんの増殖を抑えます。

ゲムシタビンは、抗がん剤の中では比較的副作用が少なく、吐き気や脱毛などの頻度もそれほど高くありません。ただし個人差がありますので、特に初回は慎重に経過を観察しながら投与する必要があります。

中でも比較的よくみられる副作用は、以下の通りです。

発疹

4人に1人ぐらいの割合で起こる副作用です。皮膚の赤みやかゆみなどが中心で、症状に応じて塗り薬や飲み薬を使います。

発熱

こちらも4人に1人ぐらいの割合でみられる副作用です。ゲムシタビンの治療を受けてから3日以内に、38度程度の熱が出ることが多く、必要に応じて解熱剤を使って対処します。

白血球の減少

抗がん剤によって起こる「骨髄抑制」の1つで、血中の白血球が減少する副作用です。白血球は異物と戦ってくれる免疫細胞ですから、減少すると免疫力が低下し、普段よりも感染症にかかりやすくなります。

抗がん剤による副作用の場合、時間が経てば自然に回復することがほとんどですが、白血球が減少している時期には人混みを避け、外出時には必ずマスクをつける、帰ってきたら手洗いやうがいをしっかりする、などの対策が必要です。

疲労感

ゲムシタビン療法を受けた患者さんのおよそ半数が、だるさなどの疲労感を感じるといわれています。この間は無理をせず安静にして、体を十分に休めることが大切です。

ゲムシタビンでは、重篤な副作用はあまり起こりませんが、まれに間質性肺炎やアナフィラキシーショック、肺水腫、腎不全などの命に関わる副作用が起こるケースもあります。

外来で受ける場合も、帰宅後に何らかの異変を感じたらすぐに受診するようにしましょう。

ティーエスワンの副作用と対処法

ティーエスワンは、一般名を「テガフール・ギメラシル・オテラシル」といって、3つの成分でできた抗がん剤です。点滴ではなく、錠剤・カプセル・顆粒などの経口薬になります。

種類としては、ゲムシタビンと同じく「代謝拮抗薬」と呼ばれるタイプで、がん細胞のDNA合成に必要な酵素を利用してがんの増殖を抑えます。

ティーエスワンは単剤投与で高い効果をあげる抗がん剤ですが、比較的副作用が出やすい薬の1つです。そのため、いかに副作用をコントロールしながら治療を継続できるかが大切になってきます。

特に頻度の高い副作用は以下の通りです。

吐き気と嘔吐

ティーエスワンは、吐き気や嘔吐の起こりやすい抗がん剤の1つですので、必要に応じてデキサメタゾンやドンペリドン、メトクロプラミドなどの制吐剤を使います。

下痢

服用を始めてから1〜4週目での発現が多い副作用です。単剤投与の場合、全体の約2割の患者さんにみられるというデータがあります。

重症化すると脱水症状になる危険性があるため、症状に応じて投与量を減らしたり、下痢止めの薬を使ったりします。

口内炎

こちらも2割の患者さんにみられる副作用です。口内炎ができると痛みを感じるのみならず、食事もとりにくくなってしまいますので、必要に応じて軟膏が処方されます。

またあまりに痛みがひどい場合は、局所麻酔や鎮痛剤を使う場合もあります。

エルロチニブの副作用と対処法

ゲムシタビンやティーエスワンとは種類の異なる、「分子標的治療薬」という新しいタイプの抗がん剤です。がん細胞が産生する「チロシンキナーゼ」というタンパク質を阻害することで、がん細胞の増殖を抑えます。

分子標的薬は従来型の抗がん剤と比べて、正常な細胞に与えるダメージが比較的少ないため、副作用が軽減されている点が大きな特徴です。

ただし従来型の抗がん剤にはあまりみられないような副作用が起こることはあります。

エルロチニブの副作用としては、主に以下のようなものが挙げられます。

皮膚症状

エルロチニブを服用した患者さんの多くにみられる副作用で、ニキビのような発疹や皮膚の乾燥、かゆみなどが起こります。

多くは軽症で済みますが、ひどい場合は化膿することもあるため、その場合は適切な治療を受けるためにもすぐに受診する必要があります。

下痢

約7割の患者さんにみられる副作用です。症状が強い場合は脱水症状のリスクがありますので、下痢止めや点滴などで対処します。

上記のほか、エルロチニブの副作用の中でも特に気をつけたいのが「間質性肺炎」です。

対応が遅れると重症化して、命の危険に及ぶ場合もありますので、咳や息切れ、息苦しさ、発熱などの症状が現れた場合は、すみやかに受診しましょう。

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