すい臓がんのスクリーニングと検査の進め方

すい臓がんには残念ながら、自治体で費用を助成してくれるような定期検診は今のところありません。ですからすい臓がんを早期発見するためには、個人的に人間ドックや健診などを受ける必要があります。

しかし実際は、何らかの症状が出るまで受診しない人が多いのが現状です。すい臓がんの症状は、がんがかなり進行してから現れ始めますので、命を落とさないためにも定期的に腹部のチェックを受けることをおすすめします。

すい臓がんのスクリーニング検査にはどのようなものがあるのか、またどんな流れで行われるのかについて詳しく解説していきます。

すい臓がんのスクリーニング検査とは

スクリーニング検査とは、まだ症状のない不特定多数の人の中から、病気の人を「ふるい分け」する検査のことです。

医療機関によっても違いはありますが、まずは体に負担の少ない簡単な検査から始め、それで何らかの異常が疑われた人を対象に精密検査へと進んでいきます。

すい臓がんのスクリーニングとして実施されることの多い検査にはどんなものがあるのか、詳しく見ていきましょう。

血液生化学検査

いわゆる「血液検査」で、多くの人間ドックや健康診断で最初に行なわれます。

すい臓がんになると、腫瘍のせいで膵液の流れが悪くなるため、血中にアミラーゼやリパーゼなどの「膵酵素」が移行して、数値が上がることがあります。

また血糖値の変動も起こりやすくなりますので、血糖値をチェックする上でも重要な検査です。

腫瘍マーカー

こちらも血液検査の一種です。

体内にがんができると、通常はほとんどみられない特殊なタンパクなどの物質が血中に現れることがあります。これを検出する検査が「腫瘍マーカー検査」です。

すい臓がんの腫瘍マーカーとしては、「CA19-9」や「CEA」「Span-1」などがあります。特に「CA 19-9」は、すい臓がんの代表的な腫瘍マーカーで、2センチ以下の小さなすい臓がんであっても約50パーセントで陽性を示すほどです。

ただし残り50パーセントは反応しないということですし、すい臓がん以外の病気でも数値が高くなることがありますので、腫瘍マーカーだけですい臓がんの診断を下すことはできません。

それでも簡単に受けられる検査でもあるため、スクリーニングとしては非常に有効な検査だといえます。

腹部超音波検査

腹部超音波(エコー)検査は、画像検査の一つです。人間ドックでも広く実施されていますし、何かの症状があって受診した人に対しても、まず行なわれることの多い検査になります。

腹部に医療用のゼリーを塗り、その上から超音波を発するプローブという器具をすべらせて、中の様子をモニターで確認します。

腹部臓器を全体的にチェックすることができますので、すい臓のほか、胃や肝臓、胆のうなどの消化器の病気も調べることが可能です。

ただし、すい臓は胃の裏側にあるため、全体像を描出しにくいデメリットがあります。

特に内臓脂肪の多い患者さんでは見えにくいことが多いのですが、それでも膵管が膨らんでいたり、黒っぽい影のようなものが見えたりした場合は、すい臓がんの可能性を疑うことができます。

腹部CT検査

X線を使って、体の輪切り画像を作成するCT検査は、すい臓がんを調べるためにも非常に重要な検査です。

人間ドックでオプション検査として受けることもできますし、腹部超音波検査で引っかかった人の精密検査としてもよく行なわれています。

すい臓全体の様子をよく確認するためにも、造影剤を使った「造影CT検査」を行なうことが一般的です。

CT検査では、すい臓がんは黒っぽい影として描かれます。

ごく早期の段階では、腫瘍自体は写らないこともありますが、膵管や胆管などが拡張している様子を確認できる場合がありますので、異常を疑うためにも重要な検査です。

また肝臓や肺、リンパ節などへの転移の有無や、血管への浸潤があるかどうかなども確認できるため、すい臓がんの治療方針を決定する上でも必要不可欠な検査となっています。

MRI検査

腹部エコー検査や、腹部CT検査などで診断が難しい場合に行なわれることの多い検査です。

MRIは、X線ではなく磁気を使用して体の輪切り画像を描きますので、放射線被ばくの心配がない点がメリットです。

またCTに比べると時間はかかるものの、組織のコントラストがはっきりと描出できる点も特徴となります。

最近では、膵管や胆管の異常をより発見しやすくした「MRCP検査(磁気共鳴膵胆管造影検査)」も普及してきました。

MRCPは、膵液や胆汁を特に強調して描出できる検査で、造影剤を使うことなく良質な画像を得ることができます。

超音波内視鏡検査(EUS)

超音波を使った検査ですが、腹部超音波検査と違い、プローブが付いた内視鏡を直接、口から入れます。

それを胃や十二指腸へと進めて、そこから超音波をあててすい臓の様子を調べるというもので、がんの有無だけではなく、血管への広がりを調べるためにも大きく役立つ検査です。

ただし普通の胃カメラと比べて、内視鏡が太く硬いため、患者さんにとってはやや苦痛をともなう検査でもあります。ですからCT検査などで手術不能と判断された患者さんには、あまり行なわれることはありません。

しかしこの検査では、内視鏡の先に付いた針を組織に刺して、すい臓の細胞をとる「超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引細胞診」もできますので、すい臓がんの診断を確定する上で必要になることもあります。

PET検査

全身のがんを一度に調べることができる、画期的な検査です。

ブドウ糖に似た成分の検査薬を静脈注射し、薬を全身に行き渡らせた後で、PETカメラという特殊なカメラで全身を撮影します。

この検査薬には放射線を出す物質も含まれているため、薬の集まる場所が光って写し出されます。

がん細胞は、栄養である糖に集まる性質がありますので、薬の集まった場所にがん細胞があると判断できる、という仕組みです。

PET検査には、得意ながんと苦手ながんがありますが、すい臓がんは比較的得意ながんの一つで、2センチ以下の小さな腫瘍であっても60〜70パーセントの確率で診断できるといわれています。

ただしスクリーニング検査として受ける場合は健康保険が使えず、10万円ほどの費用がかかりますので、他の検査で引っかかった人の精密検査として、もしくは既にすい臓がんの診断を受けた人の転移の状況を調べるための検査として行なわれることが一般的です。

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