すい臓がんができやすい部位

すい臓は、長さおよそ20センチの小さな臓器ですが、大きく分けて「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」の3つの部位があります。

このうちもっともすい臓がんができやすいのは、十二指腸に近い膵頭部です。

さらに、すい臓の中のどの細胞にがんが発生するかによっても、分類が異なってきます。もっとも多いのは「膵管」の上皮細胞から発生するもので、一般的にすい臓がんというとこの「膵管がん」を指します。

すい臓がんのできやすい部位や、それぞれの症状の違いなどについて詳しく解説していきましょう。

すい臓がんの約60%は「膵頭部がん」

すい臓は、十二指腸に近いほうから順番に「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」の3つの部位に分かれます。オタマジャクシのような形をしたすい臓の中で、膵頭部は頭、膵尾部はちょうど尻尾にあたる部分です。

すい臓がんのおよそ60パーセントは、膵頭部に発生します。

膵頭部には、肝臓からくる胆管が通っているため、がんができると胆管が圧迫されて、中を通る胆汁の流れが悪くなり、黄疸症状がよく現れる点が特徴です(閉塞性黄疸)。

また膵頭部は胃に近い部位でもありますので、治療では十二指腸とともに、3分の2程度の胃切除を行なうケースが多くみられます。

一方、十二指腸から離れた膵体部や膵尾部にできるがんは、全体の中では少ないのですが、膵頭部がんに比べると症状が現れにくい点がデメリットです。

膵頭部がんの場合、黄疸という比較的わかりやすい症状が出るのに対し、膵体部や膵尾部のがんではお腹や背中、腰の痛みなどが多く、すい臓がんを疑う症状としてはやや弱いといえます。

そのため膵体部や膵尾部のがんは発見が遅れがちで、治療も難しくなることが一般的です。

すい臓がんの約90%は「浸潤性膵管がん」

すい臓がんは、すい臓のどの細胞から発生するかによっても分類が異なります。

すい臓にできるがんの90パーセント以上は、「膵管」の上皮細胞に発生するものです。このがんを「浸潤性膵管がん」と呼びます。

膵管は、すい臓で産生された膵液という消化液を十二指腸へと運ぶための管です。

細かな膵管が、すい臓の中で川の支流のように集まり、やがて大きな「主膵管」となって、肝臓からの「総胆管」と交わって十二指腸へと流れ出ます。

浸潤性膵管がんは、すい臓がんの死亡率が高いことからも分かるように、予後はきわめて不良です。

すい臓自体が小さな臓器であるため、がんが比較的早い段階ですい臓からはみ出して周りの組織に浸潤したり、血管やリンパに入って遠隔臓器に運ばれたりします。

また膵頭部にできた場合は、黄疸症状で気づくことが多いのですが、膵体部や膵尾部の場合は症状が出にくく、発見が遅れがちです。

内分泌細胞にできるすい臓がん

すい臓がんは、大部分が浸潤性膵管がんになりますが、残り10パーセントに含まれるがんに「内分泌腫瘍」があります。

すい臓の働きは、膵液に関わる「外分泌機能」と、血糖調節するホルモンに関わる「内分泌機能」の2つに大きく分けられます。膵管がんは、膵液の通り道にできるがんですので、外分泌機能にできるがんということです。

一方、ホルモンを分泌する内分泌機能にもがんができることがあり、この場合はホルモンを産生する「ランゲルハンス島」の細胞群から発生します。

また、どのホルモンを産生する細胞にできたかによっても種類が異なり、たとえば血糖を下げるインスリンを産生する細胞に発生した場合は「インスリノーマ」、逆に血糖を上げるグルカゴンというホルモンを産生する細胞にできた場合は「グルカゴノーマ」と呼ばれます。

これらの内分泌腫瘍には良性のものも多いため、通常は膵管がんとは別の病気として扱われます。

膵管がんに比べると抗がん剤が効きにくいのですが、一般的に進行が緩やかですので、早期に発見できれば完治できる可能性も少なくありません。

その他のすい臓がん

上記以外のすい臓がんとしては、以下のようなものがあります。

膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)

浸潤性膵管がんと同じく、膵管の上皮細胞から発生する腫瘍ですが、粘液をつくる性質があり、粘液の入った「のう胞」がみられます。

膵管内にとどまる、おとなしい性質のものも多いのですが、いったん膵管からはみ出ると通常の膵管がんと同じですので、慎重な経過観察が必要です。

粘液性嚢胞腫瘍(MCN)

IPMNと同じ粘液性の腫瘍ですが、特に「膵尾部」に好発します。IPMNよりも悪性度が高いことが多いといわれています。また中年女性に多く、実に98%以上を女性が占めている点も特徴です。

腺房細胞がん

膵液をつくる腺房細胞から発生する、珍しいタイプがんで、すい臓がん全体の1〜2パーセントといわれています。症状が少ないため早期発見が難しく、検査で巨大な腫瘤として見つかることの多いがんです。

この他にもいくつかのすい臓がんがありますが、もっともできやすい部位は膵頭部で、細胞としては「膵管の上皮細胞」、次いでホルモンを産生する「内分泌部」ということになります。

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