すい臓がんの5年生存率

すい臓がんは「がんの王様」と呼ばれるほど、予後の良くないがんです。これは、すい臓が小さな臓器であることや、症状が出にくく早期発見が難しいことなどが関係しています。

そのため5年生存率も他のがんと比べるとかなり低く、もっとも早期であるはずのT期ですら50%に達していません。つまり早期発見できたとしても、5年以内に半分以上の患者さんが亡くなってしまうことになります。

すい臓がんの5年生存率の詳しいデータや、生存率が低い理由について解説していきます。

すい臓がんの5年生存率は、がんの中でもワースト

5年生存率とは、がんの診断を受けた時点、もしくは初回治療を受けた時点から数えて5年後に生存している人の割合を示した数値です。

5年経過した時点で、各病院が患者さんの生存確認をし(予後調査)、自治体やがんセンターなどに報告します。

こうして全国のデータをとりまとめることで、そのがんの予後(見通し)が分かりやすくなるのです。

なぜ5年後の生存確認に意味があるのかというと、一般的に「臓器のがんは、5年たって再発しなければひとまず完治」といわれるからです。

がんの再発・転移は、ほとんどが初回治療から2〜3年以内、遅くとも5年以内に集中し、その後に起こるケースは少ないとされています。つまり5年生存率とは、「そのがんが完治できる確率」を表したものでもあるのです。

がん医療が大きく進歩した今では、多くのがんにおいて5年生存率が向上しています。たとえば胃がんや大腸がんなどの5年生存率は、T期で発見できればほぼ100%近い数値です。

肺がんは比較的予後が悪く、小細胞肺がんはT期でも50%台ですが、もっとも多い腺がんというタイプでは90%近い数値となっています。

そんな中、ひときわ5年生存率の低さが目立つのがすい臓がんです。以下は2004年〜2007年の間に、すい臓がんの診断を受けた患者さんの5年生存率を示した数値になります。

すい臓がんの5年生存率
ステージ(病期) 5年生存率 症例数
全症例 9.2% 4,081
T期 40.5% 278
U期 18.2% 792
V期 6.3% 804
W期 1.6% 2,051

※全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2004-2007年診断症例)より

表からも分かるように、すい臓がんはT期であっても5年生存率が40.5%しかありません。

さまざまな部位のがんのデータを見ても、T期でこれほど低い数値は他にないほどです。まさに「がんの王様」と呼ばれるにふさわしい予後の悪さとなっています。

さらに遠隔転移しているW期になると、5年生存率はわずか1.6%になります。つまり100人中、1人か2人ぐらいしか生存していないということですから、奇跡のサバイバーといっても過言ではありません。

患者さんにとっては非常につらい現実ですが、このようなデータからも分かるように、すい臓がんは克服の難しい病気だといえます。

すい臓がんの5年生存率が低い2つの理由とは?

数あるがんの中でも、なぜすい臓がんだけがこれほど5年生存率が低いのでしょうか。

そのヒントの一つは、上の表の「症例数」にあります。すい臓がんの診断を受けた、およそ4,000人の患者さんのうち、T期の人はたった278人しかいません。

それに比べ、もっとも末期のW期で発見された人は2,000人を超えています。つまり「すい臓がんは、早期発見できる人が非常に少ない」ということです。

すい臓がんに限らず、がんは基本的に初期症状がほとんど出ないのですが、特にすい臓は体の奥深くにあるため、異常があっても症状として表れにくい特徴があります。

食欲不振や体重の減少、糖尿病の症状、腹痛や背部痛などが出てきた時にはかなり進行していることがほとんどですので、症状を待ってからでは遅いのです。

さらに、すい臓がんには簡単なスクリーニング検査がまだないことも、早期発見を難しくしています。

たとえば胃がんならバリウム検査、肺がんなら胸部X線検査などが広く行なわれており、40歳以上からは低料金で受けられますが、すい臓がんでは不特定多数を対象とした定期検診はまだ実施されていません。

すい臓がんをT期で発見できた患者さんは、人間ドックや他の病気の検査で、たまたま腹部エコーや腹部CTを受けた人が多いといわれています。

そしてもう一つ、すい臓がんの予後を悪くしているのは「転移のしやすさ」です。すい臓は長さ20センチほどの小さな臓器のため、あっというまにがんがはみ出して周りの臓器に広がってしまいます。

しかも膵臓の周りには、胃や十二指腸、肝臓、胆管などの重要な臓器や器官があるほか、大きな血管も通っていますので、血管を通して遠隔転移しやすい点も厄介です。

このように生存率がきわめて低く、予後の厳しいすい臓がんですが、それだけに世界中の研究者たちがこの病気を早期発見するための検査法を研究しています。

ニュースでも、「すい臓がんの新しい検査法が開発された」という話題が定期的に上がるほどです。

たとえば少量の血液だけですい臓がんの有無を判断できる検査方法などが、よく考案されています。そんな研究者たちの熱意のおかげで、近い将来にはすい臓がんをより簡単に早期発見できる日がやってくるかもしれません。

そうすれば手術を受けられる人も増え、5年生存率も自動的に上がるものと思われます。

スポンサードリンク

ページの一番上へ
サイトのTOPページへ